Chapter 01
生い立ち
私は1970年に中国の黒竜江省に生まれました。中国国内でも東北地方に位置する寒村です。70年代から80年代にかけての時代の荒波に家族ともども翻弄され、苦しい生活も経験しました。また、幼少期から「世間の不平等と理不尽」に辛酸を舐めてきたこともあり、既得権益ではなく、努力が公正に報われる社会に憧れを抱いて育ちました。
人生が環境に左右されてしまい、己の力で切り開いていくことができないことに対して、20代前半の未熟な自分は、悔しさどころか虚しささえ感じていました。
Chapter 02
来日、そして日本国籍の取得
学生時代は勉強に力を注いでいましたが、中国国内で暮らし続けることに限界を感じ、1994年にIT技術者として来日しました。言葉の壁はありましたが、日本社会が「努力が公正に報われる社会」であるおかげで成長の機会にも恵まれ、「己の力で人生を切り開いていく」ことに手応えを得られました。そのまま日本で生き抜いていく覚悟を決めて、2004年に日本国籍を取得しました。
Chapter 03
太陽光発電ビジネスへの挑戦
日本に帰化をした翌年、勤めていた会社が買収され、私は中間管理職として苦戦を強いられることになりました。環境変化の中で生き残るためには、自分自身に投資して将来に備えることが必要だと感じ、海外のビジネススクールでMBAを取得したり、不動産投資を始めたりしました。
そうして不動産の活用に面白さを感じ始めた2012年、経済産業省主導のもとで太陽光発電の固定価格買取制度がスタートしました。私は不動産投資の一環として、所有する不動産の屋上に太陽光発電所を設置してみたのですが、なんと収益性の高い事業だろうかと驚いたことを覚えています。
この制度はヨーロッパ諸国で先んじて取り組まれていた内容でしたが、日本においては新しい試みだったため、その道のプロと呼べる国内業者がほとんどいないような新鮮な業界でした。私は太陽光発電ビジネスのプロを目指す決意を固め、2014年にサラリーマンを辞めて当社を設立しました。
太陽光発電所の保有には多額の投資が必要ですが、新しい業界の新規事業だったため、金融機関からの融資を得るためには多大な苦労をしました。その後、潮目が2015年冬~2016年春の頃に変わりました。金融機関から大型の融資を獲得し、茨城県を中心に案件計画数を増やしながら、一挙に事業規模を広げることができました。
Chapter 04
国土強靭化、そして営農型太陽光発電への注力
そうして会社の業容が拡大するにつれて、再生可能エネルギーの持つ可能性が見えてきました。再生可能エネルギー事業は、「己の人生を切り開く」という気持ちでスタートした個人的なビジネスだったのですが、「人類の未来を切り開く」事業なのだと思うようになったのです。
2019年には二つの大型台風(台風15号と19号)が日本列島を直撃し、被災地では生活インフラの復旧に週単位・月単位の時間を要しました。私が来日した1990年代には自然災害のニュースをこんなに頻繁に目にすることもなかったように思います。季節感も歪み、猛暑に悩まされる昨今、地球環境に大きな変化が訪れていることを実感せずにはいられません。地球温暖化は、人類にとって目前に迫る危機なのです。
また、2022年2月に始まったウクライナ戦争や2023年10月の中東紛争といった国際情勢の不安定さが、世界中に不穏な空気を漂わせています。このような時代だからこそ、私たちは国が提唱する「国土強靭化」に呼応し、自国産の再生可能エネルギーを増やし、食料自給率を高める取り組みが重要だと考えています。2022年からは、農業と太陽光発電の両立を目指せる「営農型太陽光」に力を入れ、耕作放棄地をはじめとした農地を活用しています。現在までに50ヘクタールの農地を確保し、その上に約35MWの太陽光パネルを設置する予定です。さらに、対前年比30%の農地活用面積の拡大を目指し、2030年に600ヘクタールの農地(東京ドーム約130個分)を耕作する計画です。
再生可能エネルギーによって、私たちは今の暮らしを守りながらも、二酸化炭素の排出量を大きく削減することができます。当社が取り組んでいる再生可能エネルギー事業を通じて、地球温暖化と戦うことが私たちの天職なのだと思うようになりました。
私は日本が大好きです。「グローバル」という言葉を社名に掲げてはおりますが、まずはこの素晴らしい日本社会の役に立ちたいです。これまで東京電力管内を中心に事業を広げてきたのは、電力インフラの充実度と、関東平野の広大な平地が、日本国内では太陽光発電事業に最も適した地だと確信したからです。この地で学んだ再生可能エネルギー事業の知見を日本全国に展開し、果てはグローバルな観点で地球温暖化と戦う企業を目指したいと考えています。
当社はまだスタート地点に立ったばかりです。再生可能エネルギーの業界に根を張り、地球温暖化と向き合うというミッションを掲げ、人類の未来を切り開くために私たちはこれからも邁進してまいります。